お題:「道南の旅」→「び」
唐突ですが、この前、久方ぶりに会う友達とそれなりに小洒落た場所でランチを食べることにしたんですよ。「なんでも美味いんだよ~」なんて言われながら連れて行かれたそのレストランはログハウスで、中には暖炉があるそんな雰囲気ばっちしのお店。
メニューの写真を見ると美味そうだしボリュームもありそうだし、こりゃ期待できるなーと気分が高揚していきました。で、アントレ→スープ→メイン→デザート+コーヒーの順で料理を選んでいくんですけどね、店員さんに「スープはどちらのスープになさいますか?」と聞かれて「北海道の豊かな自然の恵みが織りなすコーンスープ」を頼んだんです。だって、ド定番じゃないですか?これまで食べてきてハズレ無し、ほっこり身体も心もあたたまるスープオブスープですよ。迷いなし。
そしたらね、友達はこう言ったんです。
「じゃ、ヴィシソワーズで」
「え?なんて?」
思わず言っちゃいましたよ、わたし。もう少し焦ってたら「だれ?それ?」ぐらい言ってたかもしれません。
「え、知らんの?ヴィシソワーズ」
「知らんの?」と聞かれて「知らん」と答えるほど、わたしは素直な人間じゃありませんから、「知ってるよ。でも、それ頼むんだ、意外だなーと思って」と返しておきました。そして、逃げるようにトイレに行き、スマホで検索したら「冷たいポロネギ風味のジャガイモのポタージュ」と判明しました。こんなスープあるのか、、、。恥ずかしながらヴィシソワーズとは初対面でした。。。
「ヴィシソワーズってさ、ジャガイモの風味が苦手でさ」と、席につくなり友達に言ったわたしには、相当焦っていた感が漂っていたのでしょう。「あーそう?」と言いながら、心なしか友達は笑っているような気がしました。「おまえ知らなかっただろ」と心の奥底で笑われている気がしました。そもそもジャガイモの風味を楽しむスープなのに、そのジャガイモを全否定するコメントなんですからバカまるだしです。
まーこういうことありながらも、ランチはすすんでいって最後のコーヒーを飲んで終わりだったのですが、話が弾んで、結局昼から飲むことになりました。どうせ車で来てないし、いいよねーみたいな、そんなノリです。
せっかくだからワインにしよう、と友達が言いました。ふたりとも「赤」が好きだったので、赤ワインを頼みました。そしたら、係の人が「何かご一緒にお食べになりますか?」と聞いてきました。わたしは「柿ピー」が好きだったので思わず頼もうかと思いましたが、あまりに野暮なので黙っていたら、友達がこう言ったんです。
「じゃ、ラタトゥイユを」
「え?なんて?」
思わず言っちゃいましたよ、わたし。もう少し焦ってたら「だれ?それ?」ぐらい言ってたかもしれません(二度目。
「え、知らんの?ラタトゥイユ」
「知らんの?」と聞かれて「知らん」と答えるほど、わたしは素直な人間じゃありませんから、「俺はあんまり好きじゃない」と捨て台詞を吐いて、トイレに駆け込みました。トイレの存在がこれほどまでに嬉しかったことはありません。すぐにスマホで検索です。そしたら「フランス南部プロヴァンス地方ニースの郷土料理で夏野菜煮込みのこと」と出てきました。こんな食べ物あるのか、、、。恥ずかしながら、ラタトゥイユとは初対面でした。
で、席につくなり、わたしは思いました。なんでわたしばっかり初耳ワードに出会って、おろおろしなければならないのか?このままやられてばっかりでいいのか。赤ワインの入ったグラスをくるくる回しながら、愉快そうな友達を一泡吹かせることはできないのか?
そこでわたしは一計を案じ、適当な料理名を作り上げて「えー知らないの?その料理」と挑発し、知ったかぶりを誘発する作戦に出ることにしました。
「ねえ、ワインに合うと言えばさ、ポギョムンメアッツアって美味いよね?」
正直、その後の展開を思って、笑みがこぼれそうでしたが、なんとか真顔で言うことができました。
「、、、。」
案の定、友達は無言です。さてどうするんだろうか?知ったかぶりして語るのでしょうか。それとも、正直に知らない、と言うのでしょうか。友達の性格からして、正直に言うとは思えません。
「俺はあんまり好きじゃないけど、頼む?」
きゃあああああ。そうきたかー!ありもしない料理頼むの?やばいです。笑いがこみ上げてきます。くくくく。いつからこんなに性格悪くなったのでしょうか。
「ああ、どうぞどうぞ」
友達は係の人を呼んで、「ポギョムンメアッツアひとつ」としっかりと頼みました。無いよ、そんな料理、とわたしは心の中でつっこみます。が、しかし、係の人は「はい、喜んで」と言うじゃないですか。「え?あるの」と思わずつぶやきそうになりました。そして、5分後、、、
「ポギョムンメアッツアお待たせしました」と係の人が料理を持ってきました。お魚を揚げてあんかけしているような料理です。。。
「あるんかい!」と突っ込んだら、夢から覚めた総務課Sです。みなさまこんにちは。自己紹介が思いの外長くなりましたが、最近、ほんとに夢を見ることが多くて、だいたいこんな自虐系です。なにかあったんでしょうか。
閑話休題。
平成28年に当会職員は様々な研修会に参加しました。その中で、わたしが最も記憶に残っているのは、さきのスープの講話です。「コーンポタージュ」「ヴィシソワーズ」「トムヤムクン」と3種類のスープを提供するレストランで、ほとんどのお客様が「コーンスープ」を頼んでいました。そこで、レストランでは、それぞれにどういう料理なのか、どういう売りがあるのか、コメントを添えたところ、ヴィシソワーズとトムヤムクンの人気が高まったということです。
レストランにとって、それぞれのスープを認識しているのは当たり前ですが、お客様にとって、不人気のスープはそもそも存在していなかったのです。「選ばれない」理由の多くは、「知らない」「よくわからない」という単純な理由であることが多いということ、相手と自分の認識に隔たりがないか確認する重要性そしてPRの大切さを、思い知らされ、自分もそういうことがないか反省しました。
来年においても、常日頃から学びの姿勢を持ち、鋭意がんばっていきたいと思う所存であります。
という真面目な感じで平成28年の中央会ブログをしめくくります。
次は「ず」ですよー。